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  • 便秘(滞留便)

    以下の症状の場合は注意が必要

    • 慢性的な便秘が長い間続いている
    • 慢性的な便秘によって切れ痔やいぼ痔になりやすい
    • 便が少量で、常にお腹が張っている
    • ウサギのようなコロコロと小さい便が出る
    • 強くいきんでも少量しか排便できない
    • 下痢になるまで便秘が解消しない
    • 排便しても残便感がある
    • 排便後の不快感が残る
    • 便が硬くて排便が困難

    など


    便秘の解消には治療が必要

    便秘の解消には治療が必要便秘は日常的に起きる症状なため、自己判断で対処や放置をしてしまいがちになります。しかし、中には大腸がんなどの重篤な病気の一症状として現れているケースもあるため、注意が必要です。
    便秘の原因には様々なケースが考えられるため、長期間便秘にお悩みの場合は、一度医療機関を受診し、適切な検査を行って原因の特定や治療を行うことが大切です。

    便秘・下痢の定義

    一般的に、食べたものが便として排泄されるまでの時間は1〜3日間となります。そのため、3日以上排便がない場合は、便秘と診断されます。一方、排便回数が多く、便が水分を多く含んでいる状態が下痢となります。

    便秘の診療科の種類

    便秘症状を改善したい場合は、一般内科や消化器内科、胃腸科、肛門科などが主な診療科となります。
    便全般に関するお悩みやお腹の張り・痛みを伴う場合には、一般内科や消化器内科、胃腸科が専門となります。また、便秘が原因で痔を発症している場合には、肛門科を受診しましょう。


    便秘の原因

    便秘とは、何らかの原因によって便の排泄機能が低下し、便が腸内に長時間滞留する状態の病気です。便が体内に留まり続けることで、慢性的な不快感が生じます。
    便秘は、胃腸や肛門の病気が原因で発症する器質性便秘と、大腸の働きが低下することが原因で発症する機能性便秘の2種類に分類され、機能性便秘はさらに以下の3種類に細分化されます。


    便秘の種類

    機能性便秘

    直腸性便秘

    直腸性便秘とは、便意を催しているにも関わらず、仕事等でトイレに行くことを無理に我慢してしまうことで発症する便秘です。この状態が習慣化してしまうと、排便リズムが乱れて直腸まで便が到達していても便意を感じにくくなり、大腸内に便が留まり続けるようになります。

     

    弛緩性便秘

    弛緩性便秘とは、運動不足や食物繊維の摂取不足によって大腸の蠕動運動が低下していることで発症する便秘です。便秘の種類の中で最も多く見られるタイプです。
    大腸の働きが低下することで便がスムーズに大腸を通過できず、長時間大腸内に便が留まり続けるようになります。

     

    痙攣性便秘

    痙攣性便秘とは、過度なストレスや緊張などによって自律神経のバランスが乱れ、大腸の蠕動運動が過剰に反応して痙攣を起こすことで発症する便秘です。考えられる原因としては、ホルモンバランス異常や神経の病気、抗精神薬といった内服薬の悪影響などが考えられています。主な症状は腹部膨満感や腹痛などになります。

    器質性便秘

    器質性便秘とは、便が小腸や大腸の消化管を通過するときに何らかの障害が起こり、腸閉塞や腸管癒着、大腸がんなどの病気を発症することで引き起こされる便秘です。便秘や腹部の違和感のほか、中には激しい腹痛や嘔吐、血便などが現れることもあります。器質性便秘の場合に下剤を使用すると腸管穿孔を起こす恐れがあるため、使用は控えましょう。いずれにしても、器質性便秘はできるだけ早く原因を特定した方が良いため、気になる症状がある場合には当院までご相談ください。


    便が溜まっている(滞留便)
    サインは?

    お腹の異常

    お腹の異常便秘は便が腸内に長期間滞留してしまう状態です。便秘になると、腹部の調子が悪くなる、腹部が張る、きつい臭いのおならが出るなどの症状が現れ、これらは腸内に便やガスが滞留しているサインになります。また、放置すると胃の働きが低下し、食欲不振に陥ることもあります。

    便の臭いが気になる

    便秘が長期間続くと、便が腸内に滞留して体内で腐敗物質が発生するようになります。その結果、血液中の有害物質が呼気や皮膚から排出されるようになり、口臭や体臭がきつくなることがあります。

    肌の調子が悪い

    便秘が長期間続くと、便が腸内に滞留して腐敗が進み、悪玉菌が増加してアンモニアなどの有害物質が発生するようになります。これらは血液に取り込まれると、皮膚のターンオーバーを阻害し、ニキビや吹き出物などの肌のトラブルを招くようになります。

    太りやすい

    肝臓では、栄養素を代謝・吸収するために多くのエネルギーを必要とします。しかし、便秘によってアンモニアなどの有害物質が血液中に取り込まれると、これらを除去するためにエネルギーが使われるようになるため肝臓がエネルギー不足に陥り、基礎代謝量が低下して太りやすい体質へと変化してしまうことがあります。

    疲労感・ストレス

    便秘によって腹部が張ったり腸の状態が悪いと、疲労が蓄積して憂うつな気持ちになってしまいます。その結果、家でゴロゴロする時間が長くなり、運動不足に陥ってますます便秘が悪化するという悪循環を招く恐れがあります

    免疫力が下がった

    腸では、体外から侵入した細菌やウイルスを排除するための腸管免疫という機能があります。しかし、便秘によって便が腸内に滞留して腐敗が進み、悪玉菌が増加して腸内環境が悪化すると、腸管免疫機能が働かなくなって免疫力が低下し、感染症にかかりやすい体質に変化することもあります。


    便秘の原因として考えられる病気

    大腸がん

    近年食事習慣の欧米化などが原因で、日本における大腸がんの患者数は増加傾向にあります。具体的には、肉類など動物性脂肪を多く摂取すると、これらを消化する際に分泌される胆汁酸が腸内に長時間滞留することで発がん物質に変質し、大腸がんへと進展します。
    大腸がんは、初期の段階では自覚症状に乏しいですが、進行すると大腸内腔が徐々に閉塞し、排便が困難になります。
    便秘や血便など気になる症状が現れた際には、お早めに当院までご相談ください。

    過敏性腸症候群

    過敏性腸症候群とは、大腸や小腸など消化器系に異常が見つからないにも関わらず、便秘や下痢などの症状を繰り返す病気です。主な症状は、便秘・下痢のほか、腹痛や腹部膨満感などが現れます。
    考えられる原因としては、過度な精神的・身体的ストレスの蓄積が起因しているとされ、一時的に症状が改善してもその後再発を繰り返すこともあります。

    腸閉塞(イレウス)

    腸閉塞(イレウス)とは、腸内に便が長時間滞留することで腸の働きが低下し、腸が捻れたり腫瘍を形成したりして便が腸に詰まってしまう病気です。発症すると、便が運ぶことが困難になり、便秘のほか腹痛や嘔吐、発熱、腹部膨満感などの症状が現れます。

    痔は主に便秘によって引き起こされます。便秘になると排便する際に強くいきんでしまい、肛門部が鬱血を起こしたり硬い便が肛門を損傷することで痔を発症します。主な症状は、肛門部の痛みや出血、化膿などが挙げられます。また、痔になると排便時の痛みや出血を恐れて排便を我慢しがちになり、その結果次第に便が硬くなり、さらに痔の症状が悪化するという悪循環に陥ることがあります。


    便秘の検査

    大腸カメラ検査

    大腸カメラ検査大腸カメラ検査とは、肛門から内視鏡スコープを挿入して大腸粘膜を直接観察する検査です。便秘の原因の中には、過敏性腸症候群や大腸がんなど重篤な病気によるケースもあり、大腸カメラ検査ではこれら病気の有無を確認することができます。


    便秘の治療

    生活習慣の見直し

    便秘を解消するには、食事習慣や運動習慣など生活習慣を見直すことが効果的です。食事では食物繊維を多く摂取するようにし、同時に十分な水分補給を行いましょう。また、適度な運動習慣を取り入れると、血行を促進したり腸の蠕動運動を活性化させて便秘の解消につながります。
    当院では、患者様の便秘の状態に合わせて、効果的な生活習慣の改善指導も行っております。どうぞお気軽にご相談ください。

    薬物療法

    便秘を改善する薬には、腸の働きを活性化するものや便を柔らかくするもの、便の量を増やすものなど様々な種類があります。また、漢方薬も便秘の改善には効果的です。
    当院では、現れている便秘の症状や種類、患者様の生活習慣などを考慮して、最適な薬を提案しています。

    便秘薬

      メリット デメリット
    緩下剤(下剤) 腸の運動を活性化して排便を促します。比較的短期間で効果を得ることができます。 長期間使用し続けると、腸に依存性が生じて下剤を服用しないと排便できなくなる恐れがあります。その他、下痢や腹痛などの副作用を起こすこともあります。
    軟便剤(便軟化剤) 便を柔らかくし、楽な排便を促します。安全性が高く、妊婦や出産後、手術後などの方でも使用可能です。 依存性は少ないですが、効果が現れるまでに時間を要します。また、中には下痢や腹痛などの副作用を起こすこともあります。
    腸管刺激剤 腸の働きを活性化し、排便を促します。便通の改善に効果的です。 長期間の使用には適さないことや、下痢や腹痛などの副作用を起こすことがあります。
    オスモチック整腸薬 腸内の水分量を増やし、便を柔らかくする薬です。排便が容易になり、便通を改善します。 長期間使用することで依存性や電解質異常を起こす恐れがあります。また、使用中には適切な水分補給が必要です。
    プロバイオティクス 腸内の善玉菌を増やして、腸内環境を整える薬です。便通を正常な状態に調整します。 効果の出方に個人差があり、時間がかかる場合もありますが、副作用はほとんどありません。