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  • 下痢・軟便が続く(原因と治し方)

    このような下痢症状には要注意

    • 便が水または泥のような形状をしている
    • 下痢に血が混入している
    • 以前と比べて一日の便意の数が増して、下痢症状が続いている
    • 長期間腹部の痛みと下痢症状が続いている
    • 便秘の状態で下痢状の便が少量ずつ出る

    長期間続く下痢は病気のサイン

    長期間続く下痢は病気のサイン一般的に下痢症状は1週間以内には自然治癒しますが、症状が1週間以上継続している場合や便秘と下痢を交互に繰り返している場合には、過敏性腸症候群や潰瘍性大腸炎、大腸がんなどの病気の可能性があります。
    一度、大腸カメラをはじめとした検査を受けられることを推奨します。

    下痢とは

    下痢は、何らかの原因によって腸に炎症が起き、消化吸収機能に異常が生じることで発症します。下痢になると、便の水分量が増して泥状または水のような形状になります。一時的な症状の場合は特に問題はありませんが、中には何らかの病気の一症状として現れているケースもあるため、気になる症状がある場合には当院までご相談ください。

    軟便とは

    軟便とは水分を多く含んだ便のことを指します。正常な状態の便の水分量は70~80%ですが、軟便の場合は80~90%となります。下痢と似ていますが、下痢の場合は水分が多すぎるため形状がなく、軟便の場合は泥状の形状をしています。そのため、排便後にも残便感が生じ、すっきりとしないことがあります。

    下痢に伴う波のある腹痛

    下痢症状に伴って一定間隔で腹痛を起こしている場合には、腸の働きが関与していることが多いとされます。下痢の状態では、腸が動くたびに痛みを感じるために、腹痛の頻度に波が生じます。波がある腹痛はそれほど心配をする必要はありませんが、中には重篤な病気が隠れている場合もあるため、検査を行うことを推奨しています。


    下痢の原因

    腸管蠕動運動の異常

    腸は、腸管の蠕動運動によって便を肛門の方へ押し出しています。この蠕動運動に異常が起こると、水分吸収が行えなくなって水分を多く含んだ便になります。
    以下は、蠕動運動の異常を引き起こす主な原因となります。

    1. 過敏性腸症候群
    2. がん性腹膜炎
    3. 甲状腺機能亢進症

    腸管内の炎症

    何らかの原因によって腸管内に炎症が起きると、以下のような異常を起こすようになります。

    • 腸管壁の組織液が便に購入して水分を多く含んだ便になる
    • 水分吸収がうまくいかなくなる

     

    腸管内の主な炎症の原因は、以下の通りです。

    1. 細菌・ウイルス感染が原因の感染性腸炎
    2. 胃薬や抗生剤の副作用による薬剤性腸炎
    3. 潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患
    4. 膠原病

    細菌やウイルスによる感染性腸炎

    腸が細菌やウイルスに感染すると、感染性腸炎を引き起こして急性の下痢症状を引き起こします。原因となる主な細菌やウイルスは、サルモネラ菌や腸炎ビブリオ、病原性大腸炎菌、カンピロバクター、ノロウイルス、ロタウイルスなどが挙げられます。なお、細菌やウイルスは種類によって潜伏期間が異なり、早いもので4時間ほど、遅いもので10日間ほどとなります。
    考えられる主な感染経路は以下になります。

    1. 汚染された水や食品からの感染
    2. 人から人への接触感染
    3. 動物から人への感染

    薬剤による副作用

    胃酸分泌抑制薬を使用すると、副作用によってコラーゲン性大腸炎を引き起こして下痢になることがあります。使用を中止すれば症状は改善しますが、医療機関での診断が必要になります。
    また、抗生物質によって偽膜性腸炎を引き起こすこともあります。
    腸炎を引き起こす可能性のある主な薬は、以下となります。

    • 下剤
    • 解熱鎮痛薬
    • 胃酸分泌抑制薬
    • 抗生物質
    • 抗炎症薬
    • 抗がん剤

    栄養不足・低アルブミン血症

    体内のアルブミン量が低下すると、血管から水分が滲み出て便に混入し、下痢症状を引き起こす低アルブミン血症を発症します。主な原因は、栄養不足やアルブミン合成機能の低下、アルブミン喪失などが挙げられます。アルブミン合成機能の低下を引き起こす主な病気は、肝炎や肝不全、肝硬変などになります。アルブミン喪失を引き起こす主な病気は、慢性腎臓病や糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群などになります。


    下痢の検査・診断

    下痢症状を起こしている場合には、まずは問診を行って詳しい状況をお伺いします。具体的には、下痢の回数や形状、血液の混入の有無などを確認し、可能性が疑われる場合には、大腸カメラ検査を行って大腸粘膜の状態を詳しく観察します。

    大腸カメラ


    下痢の治療方法

    下痢の主な治療方法は以下の3つとなります。

    薬物療法

    下痢を引き起こしている原因を特定し、原因に応じて適切な薬剤を選択します。一般的には下痢止め薬が効果的ですが、下痢の原因が細菌やウイルス感染の場合には、下痢止め薬によってかえって体内に細菌やウイルスを長期間留めてしまうため、別の方法で対処します。

    水分補給と点滴

    激しい下痢は脱水症状を引き起こす恐れがあるため、注意が必要です。そのため、下痢の際には適度な水分補給を行うことが重要になります。水分補給に適した飲み物としては、電解質を多く含んだスポーツドリンクやOS1などの経口補水液になりますが、重症化して口からの水分摂取が困難な場合には、点滴によって水分補給と栄養補給を行います。

    生活習慣の改善

    過度なストレスの蓄積などによって生活習慣が乱れると、自律神経のバランスが乱れて腸の蠕動運動を阻害し、下痢を引き起こします。そのため、適度に休息を取ったり上手にストレスを発散するなど、生活習慣を改善することが下痢を解消させる上で大切になります。