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  • 脂肪肝

    脂肪肝とは

    脂肪肝脂肪肝は肝臓に余分な中性脂肪が蓄積した状態の病気で、メタボリックシンドロームの合併症として発症しやすく、高中性脂肪、高LDLコレステロール・低HDLコレステロールを引き起こして動脈硬化の原因にもなります。また、放置すると肝炎や肝硬変、肝臓がんへと進行する恐れもあります。
    過食や過度の飲酒、運動不足などによって接種カロリーが過剰になると、余剰分はグリコーゲンや中性脂肪として体内に蓄えられます。中性脂肪は皮下脂肪組織や内臓脂肪、肝臓に蓄えられ、肝臓の30%以上が中性脂肪になると、脂肪肝と診断されます。
    主な原因は前述通り過食や過度の飲酒、運動不足ですが、その他にもステロイド剤の使用や糖尿病、代謝異常なども原因となります。なお、もともと飲酒習慣がなく、過食によって脂肪肝から肝炎や肝硬変へと進行する場合は、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)と言われます。


    脂肪肝を引き起こす恐れのある数値

    • AST(GOT):基準値7~38 IU/L
    • ALT(GPT):基準値4~44 IU/L

    これらが上記より高値の場合は、急性肝炎や慢性肝炎、劇症肝炎、アルコール性肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝臓がんなどの恐れがあります。

    • γ-GTP:男性で80 IU/L以下
    • 女性で30 IU/L以下
    γ-GTPが上記より高値の場合は、急性肝炎や慢性肝炎、肝硬変、肝臓がん、アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪性肝炎、胆道系疾患、薬剤性肝障害などの恐れがあります。

    脂肪肝の主な原因・症状

    過食や過度の飲酒、運動不足、肥満、無理なダイエット

    食事から摂取した脂質は小腸で吸収されて肝臓で脂肪酸に分解されます。また、食事から摂取した糖質はブドウ糖に分解されて小腸に吸収され、肝臓で中性脂肪となります。しかし、過食による脂質や糖質の過剰摂取、運動不足などが原因で脂肪酸やブドウ糖が過剰になると、中性脂肪として肝臓に蓄積されていきます。また、アルコールは分解される際に中性脂肪を合成するため、過度の飲酒習慣によっても肝臓に中性脂肪が蓄積されます。
    その他では、肥満体質の場合でも、肝臓における脂肪酸の燃焼効率が低下して、中性脂肪が蓄積される原因となります。極端な食事制限による無理なダイエットなども、低栄養性脂肪肝を引き起こす恐れがあります。

    飲酒習慣がない人が発症する脂肪肝は注意が必要

    過度な飲酒習慣が肝臓に負担をかけて様々な病気を引き起こすことは広く知られていますが、日本人で脂肪肝を発症する原因は飲酒ではなく過食の方が多いと言われています。このように、アルコールが原因でない脂肪肝を非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と言います。
    NAFLDは、比較的軽症で改善しやすい単純性脂肪肝(NAFL)と、重症化して改善が難しい非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の2つに分類されます。NAFLは放置するとNASHに進行する恐れがあり、NASHは放置するとその後肝硬変や肝臓がんへと進行する恐れがあるため、注意が必要です。
    そのため、気になる症状が現れた際には医療機関を受診して原因を特定し、できるだけ早く生活習慣の改善に努めることが大切です。

    慢性的な疲労感や肩こり、頭がボーッとするなどの症状も脂肪肝のサイン

    近年では、脂肪肝はNASHへ進行する恐れがあるほか、心筋梗塞や狭心症などの心疾患を引き起こす可能性があることが報告されるようになり、気をつけるべき病気の一つとなっています。
    脂肪肝は自覚症状に乏しいために気づかないうちに発症しているケースが多く見られますが、脂肪肝を発症すると血液がドロドロになって血流が悪化するため、全身への酸素や栄養の運搬効率が低下して、慢性的な疲労感や肩こり、頭がボーッとするなどの症状が現れることがあります。従って、これら気になる症状が現れた際には、医療機関を受診して血液検査を受けることを推奨しています。一般的に肝機能に関する数値であるALT(GPT)が20 IU/L以上の場合は脂肪肝予備軍と言われていますので、注意が必要です。


    脂肪肝の治療

    脂肪肝の主な原因は生活習慣の乱れであることが多いため、生活習慣を改善することが予防や治療に有効です。余った脂肪は肝臓から優先的に付いていくとも言われますが、肝臓の脂肪は取れやすいという特徴もあるため、食事の改善や禁酒・節酒、運動習慣の取り入れなどを行い、肝臓に蓄積された中性脂肪を減少させて肝機能を回復させていきましょう。
    ただし、一時的に脂肪肝の症状が改善したとしても、再び生活習慣が乱れてしまうと再発します。脂肪肝は再発するとNASHに進行する傾向がありますので、生活習慣を改善させたら、その後も継続するよう心がけましょう。


    脂肪肝を予防・改善するための食事療法糖質の多い食事を避ける

    食事 脂肪肝の予防・治療では、脂分の多いものを避けることが第一だと考えられがちですが、脂分以上に気をつけるべきなのは糖質です。従って、米やパン、麺類など糖質を多く含む食材の摂りすぎには気をつけましょう。
    特に注意すべきものは果物です。果物に含まれる果糖は吸収力が高く、肝臓で中性脂肪になりやすい特徴があるため、注意しましょう。
    目安としては、1日に1/2個程度に抑え、朝食の際に食べるようにしましょう。

     

    緑茶は脂肪肝の予防に効果的

    非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、喫煙や紫外線、ストレスなどが原因で発生する活性酸素によって誘発されます。しかし、活性酸素はカテキンなどの抗酸化物質によって除去することができるため、カテキンを多く含む緑茶を飲むと、NASHの予防にもつながります。
    また、緑茶はメタボリック・シンドロームの予防にも効果的であるという報告もあるため、脂肪肝の予防にも最適です。

    野菜、たんぱく質、炭水化物の順番に食べる

    食事によって血糖値が急激に上昇すると、血糖値を低下させる作用があるインスリンが大量に分泌されます。インスリンは余剰な糖分を中性脂肪に変えて蓄積させるため、食事の際には血糖値が急上昇しないように配慮することが、脂肪肝の予防には大切です。
    血糖値を緩やかに上昇させるには、食事の際に野菜→肉・魚→米などの炭水化物の順番に食べるようにしましょう。また、時間をかけてよく噛んで食べることも大切です。

    食事は食物繊維を優先的に摂る

    食物繊維は低カロリーである上、腸からの脂質や糖質の吸収を遅らせる効果があります。
    食事の際には食物繊維を多く含む野菜やきのこ類、海藻類などを優先的に食べるようにすると、過食を防止することができます。野菜は1日350gを目安としましょう。

    過度な飲酒習慣や高カロリーなつまみを控える

    過度な飲酒習慣がある人は、肝臓の病気の発症リスクを高めます。また、飲酒習慣がある人は高カロリーなつまみを好んで食べる場合も多く、また主食を取らないケースも多いため、栄養バランスが崩れて肥満になりやすく、生活習慣病になりやすい傾向があります。
    従って、飲酒は適量に抑えるようにし、食事は主食、主菜、副菜をしっかり取るように心がけましょう。


    脂肪肝予防のための運動習慣

    運動は中性脂肪をエネルギーとして消費させるため、脂肪肝をはじめとした生活習慣病の予防に効果的です。普段からあまり運動習慣がない場合は、最初は1日5~10分程度でも良いので、少しずつ運動習慣を取り入れるようにしましょう。

    無酸素運動(筋トレ)

    糖質の約7割は筋肉で消費されるため、筋肉量を増やすと代謝を促進して太りにくい体質になります。従って、毎日スクワットなどの筋トレを行うなどをして、筋肉量を増やすよう心がけましょう。

    有酸素運動

    NAFLD/NASH診療ガイドライン(2020)によると、日々の生活習慣に有酸素運動を取り入れることで脂肪肝を改善させる効果があることが報告されています。特に過食などが原因で発症する非アルコール性脂肪性肝の予防には効果的です。
    目安としては、1日30~60分程度の運動を週3~4回は行うようにしましょう。
    お勧めの有酸素運動はウォーキングです。ウォーキングは気軽に始められる上、習慣化しやすいため、日々意識的に散歩をしたり交通機関を使わず1駅分歩くなど、定期的なウォーキングを心がけてみましょう。


    長期間継続することを心がける

    脂肪肝の予防には、健康的な生活習慣を長期間継続することが大切になります。いきなり無理な目標を立てたり、激しい運動を取り入れたりすると継続が難しくなるため、まずは自身の生活習慣の中で着実に続けられる目標を設定しましょう。
    食事と運動の両面に気を配るようにし、まずは簡単なものから少しずつ取り入れていきましょう。