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  • 肝臓内科

    肝臓内科について

    当院の肝臓内科では、アルコール性肝障害や脂肪肝、B型肝炎、C型肝炎などの肝臓の病気を診療しています。また、健診等で肝臓の精密検査を指摘された場合にも、随時対応しております。
    昔から肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれる通り、初期の段階では自覚症状に乏しく、ご自身でも気づかないうちに病状が進行していることが多いとされます。しかし、適切な検査や治療をせずにそのまま放置してしまうと、その後肝硬変や肝臓がんなど命の危険を伴う重篤な病気を引き起こす恐れがあります。そのため、定期的に検査を行い、病気の早期発見・早期治療につなげることが大切になります。


    肝臓が悪くなると出やすい症状

    前述通り肝臓の病気は初期症状に乏しい傾向がありますが、急性肝炎の場合は頭痛や発熱、咽頭痛、倦怠感などの感冒症状が現れることがあります。その後病状が進行すると、次第に食欲不振や腹痛、吐き気、黄疸、褐色尿などの症状が現れるようになり、さらに重篤化すると意識障害を起こすこともあります。
    一方、慢性肝炎や肝硬変の場合は症状が緩やかに進行することが多い傾向があるため、初期症状では体の痒みやだるさ程度の比較的軽い症状が現れ、かなり病状が進行した非代償性肝硬変になると、浮腫や腹水、吐下血などの出血、黄疸な、意識障害などの症状が現れるようになります。また、肝臓がんも初期症状に乏しく、がんが進行すると腹痛などの症状が現れる傾向があります。


    肝臓内科でよくある病気

    脂肪肝

    脂肪肝

    脂肪肝とは、過剰な中性脂肪が肝臓に溜まっていく病気です。食事から脂質を摂取すると肝臓で脂肪酸に分解され、糖質は肝臓で中性脂肪に変化します。
    正常な状態であれば特に問題はありませんが、運動不足等で摂取カロリーと消費カロリーのバランスが崩れると、エネルギーとして使いきれなかった余剰な脂肪酸やブドウ糖が中性脂肪として肝臓に蓄積していきます。
    また、アルコールを分解する際にも中性脂肪が合成されるため、過度な飲酒も肝臓に中性脂肪が溜まります。その他では、肥満体質の場合は脂肪酸の燃焼効率が悪化し、肝臓に中性脂肪が蓄積しやすくなります。極端な食事制限を行うなど無理なダイエットをした場合にも、低栄養性脂肪肝と呼ばれる脂肪肝になることもあるため、注意が必要です。

    脂肪肝

    アルコール性肝疾患

    アルコール性肝疾患とは、過度な飲酒習慣を長期間継続することで肝臓への負担が増大し、肝機能が障害を起こす病気です。なお、過度な飲酒とは、純エタノールに換算して60g/1日以上摂取する状態を指します。
    アルコール性肝疾患は適切な治療をせずに放置すると、アルコール性肝炎やアルコール性肝硬変に進行する恐れがあるため注意が必要です。
    主な改善方法は、禁酒や節酒によってアルコール摂取量を減らすことになります。一時的に減らすのではなく、長期間継続することが大切になります。

    種類 アルコール度数 アルコール換算量
    ビール(中瓶1本) 500ml 5% 20ℊ
    日本酒 1合180ml 15% 22ℊ
    焼酎 1合180ml 35% 50ℊ
    ワイン(1杯) 120ml 12% 12ℊ
    ウイスキー ダブル60ml 43% 20ℊ
    ブランデー ダブル60ml 43% 20ℊ

    非アルコール性脂肪性肝疾患 (NAFLD)

    非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)とは、日頃からアルコールを摂取する習慣がないにもかかわらず、アルコール性肝疾患を同様の肝機能障害を引き起こす病気です。NAFLDの主な原因は、肥満やメタボリックシンドローム、糖尿病などの生活習慣病が挙げられます。なお、NAFLDは非アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝炎に分類されます。
    2012年に実施された大規模疫学調査によると、日本人の29.7%がNAFLDであるという報告もあります。近年、日本では肥満やメタボリックシンドロームの患者数が増加傾向にあり、それに伴ってNAFLDの患者数も急増しています。

    肝のう胞

    肝のう胞とは、肝臓に液体を内包した袋状の良性病変ができる病気です。単発で発生することもあれば複数発生することもありますが、自覚症状はなく、放置しても命に関わる問題はありません。ただし、肝のう胞のサイズが大きくなると、稀に腹部の圧迫感や腹部膨満感などの症状が現れることがあります。
    なお、肝のう胞は超音波検査にて診断することができます。

    肝血管腫

    肝血管腫とは、肝臓に生じる一般的な良性腫瘍です。放置しても命に関わることはありませんが、徐々に大きくなることもあるため、定期的に超音波検査を行って経過観察します。初めて発見された際には、精密検査を行って他の悪性腫瘍との鑑別を行うこともあります。

    B型肝炎

    B型肝炎はB型肝炎ウイルスに感染することで発症する病気で、感染した時の健康状態や年齢によって一過性感染と持続感染の2種類に分けられます。主な感染ルートは、性交渉や出生時の母子感染などが挙げられます。
    特に出生時や3歳未満で感染すると持続感染になりやすい傾向があり、放置するとその後慢性肝炎となって肝硬変や肝がんに進行する恐れもあります。一方、成人以降で感染すると、食欲不振や吐き気、全身倦怠感、黄疸、褐色尿などの症状を伴う急性肝炎となります。80〜90%は一過性感染ですが、10-20%は持続感染となる傾向があります。
    平成28年10月からは1歳未満の子どもに対するB型肝炎ワクチンが定期接種化されていますが、その他の方はワクチン接種を推奨しています。

    C型肝炎

    C型肝炎はC型肝炎ウイルスに感染することで発症する病気です。主に輸血や注射針の不適切使用、ピアスの穴など血液を媒介にして感染します。自覚症状に乏しい特徴がありますが、中には発熱や食欲不振、倦怠感などの症状が現れることもあります。感染者の約70%が持続感染となり、その後慢性肝炎や肝硬変、肝がんに進行する恐れがあります。
    現在、日本では約100万人がC型肝炎に感染していると考えられていますが、本人も気づいていないケースや治療を放置しているケースも多いと考えられています。現在はC型肝炎ウイルスに有効な内服治療薬の登場によって、95%以上は改善できるようになっているため、一度検査を行って感染の有無を確認しておくことが大切です。

    肝硬変

    肝硬変とは、肝臓全体が硬化を起こして肝機能障害をはじめ様々な症状を引き起こす病気です。主な原因は、B型肝炎やC型肝炎、アルコール性脂肪肝炎、非アルコール性脂肪肝炎などが長期間続くことで発症します。
    肝硬変になると、肝機能が低下することで黄疸やこむらがえり、意識障害を伴う肝性脳症診断などのほか、吐血や腹水を伴う食道静脈瘤などの症状が現れます。また、肝硬変になった人の7%は、その後肝臓がんを発症しているという報告もあります。
    肝硬変の検査では、血液検査や腹部超音波検査などが有効です。肝硬変や肝臓がんを予防したり早期発見するためにも、定期的にこれら検査を受けて状態を確認するようにしましょう。

    肝臓がん(肝細胞がん)

    肝臓がんとは、肝臓ががん化した状態の病気です。B型肝炎やC型肝炎、アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪肝炎などを発症すると、その後肝臓がんに進行するケースが多く見られます。したがって、肝臓がんの予防には、前がん病変である他の肝炎を早期発見・治療することが大切になります。
    主な治療方法は、がんのサイズや個数などの進行度合い、肝機能の状態、年齢などを考慮して、外科手術以外の治療方法が検討されることもあります。現在では、針を刺してがん細胞を焼灼するラジオ波焼灼術や、肝臓の血管に抗がん剤を注入したのちに血管を塞栓する肝動脈化学塞栓療法、全身化学療法など、外科手術に比べて負担の少ない治療方法も確立しています。

    薬物性肝障害

    薬物性肝障害とは、薬などによって肝臓が損傷して肝障害を起こす病気です。主な原因は医療機関で処方される薬や市販の薬、漢方薬、サプリメントのほか、人体にとっての有害物質などによる悪影響となります。
    症状は軽微なことが多いですが、中には、吐き気や腹痛、黄疸、意識障害など肝不全特有の症状が出ることもあります。
    薬物性肝障害は、過去に薬などで肝機能が低下した場合や、アレルギー症状が出たことがある場合などが発症しやすい傾向があるため、注意が必要です。

    自己免疫性肝炎(AIH)

    自己免疫性肝炎(AIH)とは、何らかの原因によって免疫機能が異常を起こすことで引き起こされる肝炎です。慢性化することが多く、肝細胞が徐々に損傷していきます。中高年の女性に多く見られ、血液検査を行うとASTやALTの値の上昇が見られる特徴があります。
    診断では、まず原因が明らかになっている他の肝炎(アルコール・薬物による肝障害や肝炎ウイルス)や他の自己免疫疾患による肝障害の有無を調べ、これらの可能性が除外されると自己免疫性肝炎(AIH)と確定診断されます。
    治療では副腎皮質ステロイドの投与が有効です。

    原発性胆汁性胆管炎(PBC)

    原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、肝臓の中にある小さな胆管が徐々に破壊される疾患です。これにより、胆汁が正常に排出されず、肝臓に蓄積し、肝硬変や肝不全を引き起こすことがあります。原因は不明ですが、自己免疫反応が関連し、遺伝的素因や環境要因が関与していると考えられています。特に中年の女性に多く発症します。主な症状は、慢性的な疲労、皮膚のかゆみ、目や口の乾燥などですが、初期には無症状の場合も多いです。血液検査で抗ミトコンドリア抗体(AMA)を確認し、肝機能検査や画像検査で肝臓の状態を調べます。治療は、ウルソデオキシコール酸(UDCA)を使用し、病気の進行を遅らせます。進行が重い場合、肝移植が検討されることもあります。必要に応じて連携する医療機関をご紹介いたします。

    胆石症

    胆石症は、胆のうに胆汁が固まった結石が生じる病気です。胆石が生じた場所によって胆のう結石、総胆管結石、肝内結石と分類されます。また、胆石ができたことで発熱や腹痛を伴う症状を胆のう炎と言います。
    近年、日本では高齢化や食生活の欧米化などが原因で胆石症患者が増加傾向にあり、全体の10〜15%が胆石を生じているという報告もあります。
    過半数は無症状のため、その場合は定期的に超音波検査を行って経過観察となりますが、総胆管結石の場合は治療が必要になります。一方、何らかの症状が現れている場合には、胆石溶解療法や体外衝撃波(ESWL)、胆石の摘出手術などが検討されます。

    胆のうポリープ

    胆のうポリープとは胆のうにできる良性腫瘍のことです。ほとんどが無症状のため気づかないことが多く、人間ドックなど健診で偶然発見されるケースが多く見られます。胆のうポリープの90%以上はコレステロールポリープという良性腫瘍で、ほとんどの場合悪性に変化することはありません。しかし、ごく稀に悪性化したり、ポリープに初期の胆のうがんが含まれているケースもあるため、注意が必要です。
    主な検査方法は超音波検査になります。超音波検査の結果10mmを超えるサイズのものや、短期間で成長したもの、悪性腫瘍との鑑別ができないものの場合は、再度精密検査を行う必要があります。そのため、胆のうポリープが発見された場合には、最低年1回は超音波検査を行って状態を確認するようにしましょう。

    胆のう・膵臓がん

    胆のうがんや膵臓がんは胆のう・膵臓に生じるがんで、日本では近年患者数が増加傾向にあります。初期の段階では自覚症状に乏しいことが多く、病状が進行すると腹痛や体重減少、食欲不振、黄疸などの症状が現れるようになります。
    他のがんと比べて生存率が著しく低い特徴がありますが、早期発見・治療を行えば生存率を向上させることができます。近年、新しい治療方法も確立されているため、定期的に検査を行って早期発見・治療につなげることが重要です。

    急性膵炎

    急性膵炎とは、膵液の消化酵素が何らかの原因で過剰分泌を起こし、膵臓自体に障害を起こす病気です。主な原因は過度な飲酒や脂分の多い食べ物の過剰摂取など食事習慣の乱れで、これらによって膵液が必要以上に多く分泌されることで急性膵炎を発症します。そのため、急性膵炎の予防には、飲酒や脂肪分の多い食事を控えるなど、食事習慣を改善することが第一です。
    その他では、胆石が膵臓の出口に移動して出口が閉塞することも原因の一つです。このケースは特に女性や中高年の男性に多く見られ、発症すると激しい背中やみぞおちの痛み、発熱、吐き気などの症状が現れます。また、重症化すると10%が死に至るという報告もあります。
    治療の際には長期入院が必要になり、絶飲食と酵素抑制の点滴によって治療を行います。また、胆石が原因の場合は摘出手術を行います。入院や手術が必要と判断された場合には、高度医療機関をご紹介いたします。

    慢性膵炎

    慢性膵炎とは、何らかの原因で慢性的に膵臓が炎症を続けることで膵臓に機能障害が起きる病気です。発症すると、初期の段階では上腹部・背中の痛みや食欲不振、腹部膨満感などを引き起こしますが、進行すると体重減少や下痢などが現れ、さらに進行すると膵臓からのインスリン分泌量が低下して糖尿病を引き起こす恐れもあります。
    原因のほとんどは過度の飲酒や胆石によるものですが、中には原因が特定できないものもあります。主な治療は禁酒などの生活習慣の改善になりますが、すでに膵臓機能が低下している場合には、インスリン注射や消化酵素の補填などが行われま


    AST/ALT/γ-GTPなどの異常値は肝臓外来へ

    肝臓の状態を調べるには、超音波検査が有効です。リアルタイムで肝臓の様子が分かり、機械を当てるだけで臓器の状態を観察することができます。
    なお、さらに正確な診断を行う必要がある場合には、肝臓の組織の一部を採取して生検にかけるために、当院と連携する医療機関をご紹介いたします。

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