このような症状やお悩みはありませんか?
- 肩こり
- 頭痛
- めまい
日常的に頭痛やめまい、肩こりなどの症状が現れている場合には、高血圧の可能性があります。ただし、これらの症状は疲労や風邪などでも引き起こされるため、気になる場合は自己判断せずに医療機関を受診して原因を特定するようにしましょう。
高血圧状態が長期間続くと、全身の血管が損傷して動脈硬化を進行させる恐れがあります。また、動脈硬化は心筋梗塞・狭心症といった心疾患や脳出血・脳梗塞といった脳血管疾患の発症リスクも高めます。その他、腎臓の負担を増大させたり認知症のリスクも向上させるため、注意が必要です。
血圧とは
血圧とは、心臓から全身に送り出される血液が血管にかかる圧力のことを言います。血圧は心臓が収縮する収縮期と拡張する拡張期によって、収縮期圧と拡張期圧に分類されます。また、体調や緊張状態、運動などによっても変動します。
血液や末梢血管、神経系も血圧に影響します。また腎機能も血圧を調整しているため、塩分を過剰摂取したり腎機能が低下するなどによっても、血圧の上昇を助長します。
慢性的な高血圧は動脈硬化を進行させ、心疾患や脳血管疾患を引き起こす恐れがあるため、生活習慣を整えて血圧を適切に管理することが重要です。
高血圧の基準とは
高血圧の基準は、医療機関等で測定した際の血圧が140mmHg/90mmHg以上、自宅で測定した際の血圧が135mmHg/85mmHg以上となります。
また、正常値と高血圧の間の範囲は、130mmHg/80mmHg未満で正常高値血圧と、140mmHg/90mmHg未満で高値血圧の2つに分類されます。
高血圧のレベルは、収縮期血圧が20、拡張期血圧が10上がるごとにⅠ度高血圧〜Ⅲ度高血圧に分類され、Ⅲ度高血圧の場合は特に注意が必要です。
高血圧の基準
医療機関にて測定 | 140mmHg/90mmHg以上 |
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自宅にて測定 | 135mmHg/85mmHg以上 |
高血圧の原因
病気による要因
高血圧には、本態性高血圧と二次性高血圧の2つのタイプがあります。高血圧の場合のほとんどは本態性高血圧となり、明確な原因がわからないものとなります。
一方で、二次性高血圧とは、薬剤の影響やホルモン分泌異常、腎血管性高血圧・腎実質性高血圧などの腎臓疾患、原発性アルドステロン症、クッシング症候群などが原因で引き起こされる高血圧です。
遺伝的な要因
血圧の数値には、遺伝的要因が関与していると考えられています。両親がともに高血圧の場合は、子どもの約50%は高血圧になり、片方の親が高血圧症の場合は、子どもの約30%が高血圧になります。
しかし、これは何か特定の高血圧遺伝子の関与によるものではなく、高血圧になりやすい体質自体が遺伝している結果であると考えられています。
環境的な要因
高血圧は遺伝的な要因以外にも、以下のような様々な要因が関与していると考えられています。
- 肥満
- カリウムを多く含む野菜・果物の摂取不足
- 過剰な塩分の摂取
- 過度な飲酒習慣
- 運動不足
- 喫煙習慣
- 慢性的なストレスの蓄積
上記の中で、日本人に最も多くみられる原因は過剰な塩分摂取です。血圧が高めな方は、まず自身の食事習慣を見直すことから始めてみましょう。
高血圧の症状
高血圧はもともと自覚症状に乏しいため、本人も気づかないうちに少しずつ進行する特徴があります。
また、高血圧が原因で引き起こされる頭痛や肩こり、めまいなどの症状は他の多くの病気にも見られるために、それらが高血圧によるものであるかどうかの鑑別も難しいとされます。
しかし、高血圧は放置すると動脈硬化を進行させ、心不全や脳卒中など重篤な病気を引き起こす恐れがあります。これらの合併症が発症すると、手足のむくみや動悸、息切れなどの症状が現れるため、気になる症状がある場合には、すぐに医療機関を受診しましょう。
このような重篤な症状を引き起こさないためには、自覚症状が現れていない段階から健康診断等で定期的に血圧を測定し、常に自身の血圧の状態や合併症の有無を把握しておくことが大切です。
高血圧の治療(血圧を下げる方法)
高血圧は生活習慣の乱れが原因の場合が多いため、血圧を下げるには食事療法と運動療法が有効です。これらを行っても十分に効果が見られない場合には、降圧剤を使用して血圧を下げる方法も検討します。
食事療法
摂取する食塩を減らしましょう
塩分の多い食事習慣は、血圧を上昇させる大きな要因となります。従って、塩分を多く含む加工食品はできるだけ避けるようにし、生の食品を選択するよう心がけましょう。
具体的には、主食はなるべく白米とし、麺類やパンなど塩分を多く含むものは避けましょう。また、調理の際には塩分は控えめにするようにし、味付けは天然の出汁などで行うよう、工夫してみましょう。
適正体重を維持しましょう
肥満症も高血圧の主要因の一つです。特に揚げ物や調理油、飲料や菓子に含まれる糖分の過剰摂取は避けるようにし、適正体重を維持するよう心がけましょう。
一般的な適正体重の計算方法は以下となります。
例)身長170(㎝)の男性
標準体重(kg)=1.7(m) ×1.7(m)×22=63.58(kg)
規則正しく3食食べましょう
主食はできるだけ白米とし、麺類やパンは避けましょう。麺類のつゆには5g以上の塩分が含まれているため、つゆは残すようにしましょう。
また、味噌汁やスープなどの汁物1杯にも1.5~2gの塩分が含有されていますので、汁物の摂取は1日に1/2杯以下程度に抑えるようにしましょう。その他、佃煮や漬物には少しの量にも多量の食塩が含まれているため、なるべく控えるようにしましょう。
アルコールは医師に相談しましょう
飲酒習慣は高血圧の要因の一つとなりますので、過度な飲酒は控えるようにしましょう。
主なアルコールの適正摂取量は以下となります。
- 男性は「日本酒1合・ビール中瓶1本・ワイン2杯弱/1日以下」
- 女性は「日本酒1/2合・ビール中瓶1/2本・ワイン1杯弱/1日以下」
運動療法
運動療法を取り入れることは、高血圧の予防に効果的です。運動療法は血管内皮機能を改善させて血圧を下げるだけでなく、糖・脂質の代謝を促進したりインスリンの過剰分泌を抑える効果も期待できます。
2019年に発表された高血圧治療ガイドラインによると、有酸素運動を30~60分行うことで、収縮期血圧を4mmHg以上、拡張期血圧を2mmHg以上下げる効果が報告されています。また、1日約60分間の運動を週3回行うか、1日30分間の運動を毎日行うと、収縮期血圧を20mmHg以上、拡張期血圧を10mmHg以上下げる効果も報告されています。その他では、運動をするとその後約22時間血圧が低下することや、比較的程度の軽い高血圧患者が1日8,000歩のウォーキングを3ヶ月継続したことで、血圧を下げる効果が見られたという報告もあります。
以上のように、日々の運動習慣は健康維持のベースとなります。
なお、運動療法を取り入れる際には、有酸素運動が有効です。以下のような有酸素運動を、ぜひご自身の生活習慣の中に無理なく取り入れるよう、努めましょう。
- ウォーキング
- 速歩
- ランニング
- サイクリング
- 水中運動
- 水泳
降圧剤
- アンジオテンシン変換酵素阻害薬
- アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬
- カルシウム拮抗薬
- 利尿薬
- α(アルファ)遮断薬
- β(ベータ)遮断薬
※処方された薬は、必ず毎日同じ時刻に、同じ量を服用するように心がけてください。決められた時間や量を毎日守ることで、薬の効果を最大化させることができます。
※薬は症状の状態や年齢によって服用方法が異なる場合があるため、あらかじめ担当医から指示を受けた上で、指示通りに服用するようにしてください。
※薬を飲み忘れてしまった場合は、無理に複数回分を同時に服用せずに、担当医の指示に従ってください。
※血圧は環境によって一時的に下がることがありますが、その際には自己判断で服用を中止しないでください。治療を中断してしまうと再度血圧が上昇したり、血圧が頻繁に上下することで血管が障害を起こして動脈硬化を促進する恐れがあります。