感染性胃腸炎の効果的な予防法
感染性胃腸炎とは、胃腸が何らかのウイルスに感染することで様々な症状を引き起こす感染症です。一年を通して感染リスクがあるため、常に予防を心がけておくことが大切です。
原因となるウイルスには様々な種類がありますが、基本的な予防方法は共通しています。主な感染予防法は以下の3つとなります。
手洗い・うがい
帰宅時には手洗い・うがいを行い、常に清潔な状態を保つようにしましょう。
食中毒の予防
食べ物を媒介にしてウイルスに感染することもありますので、調理する際には食材の洗浄や加熱、熱湯消毒などをしっかりと行うようにしましょう。
適切な嘔吐物、便の処理
感染者の嘔吐物や便にはウイルスが混入していますので、処理する際には塩素系消毒薬を使用しましょう。
感染性胃腸炎の主な原因ウイルス
ノロウイルス | ロタウイルス | サポウイルス | |
---|---|---|---|
症状 | 腹痛、吐き気、嘔吐、発熱など ※重症の場合には脱水症状を起こす恐れあり |
発熱、嘔吐、下痢、嘔吐など | 発熱、吐き気、嘔吐、下痢など |
潜伏期間 | 1日〜2日 | 約2日 | 1日〜3日 |
特徴 | 比較的症状は軽く、1日〜3日ほど計測する。 | 白色をした水様の下痢症状が特徴。ノロウイルスよりも発熱症状が多く、脱水症状など重症化しやすい。 | 比較的幼児に多く見られるが、近年では成人や高齢者の集団感染事例もあり。 |
好発時期・年齢 |
|
|
|
感染性胃腸炎の感染経路
人から人への感染
感染性胃腸炎は、人から人へ感染が拡大します。主に感染者の嘔吐物や便を処理する際に手で触れてしまい、その後口から感染するケースが多く見られます。また、嘔吐物から飛沫感染を起こすこともあります。中には感染しても自覚症状のない不顕性感染の場合もあり、本人も気づかずに周囲へ感染を拡大させてしまうこともあります。
不衛生な水や汚染された
食品からの感染
ノロウイルスが混入した井戸水や水道水を摂取することで感染することがあります。また、ノロウイルス感染者が調理の際などに食品に触れ、その食品を媒介にして感染が拡大することがあります。
感染性胃腸炎の予防
感染性胃腸炎の予防法の中で、最も効果的なものは手洗いです。帰宅時や食事の前後、トイレの後、調理の前後には、入念に手を洗浄するように心がけましょう。
また、家族の中でタオルを共有しないことや、下痢症状の人は最後に入浴するなどの家族間の工夫も予防には大切です。
その他、小さな子どもがいるご家庭では、子どものおもちゃを一日一回は洗浄したり、アルコールスプレーなどで除菌することも大切です。
感染性胃腸炎に感染したら
感染性胃腸炎の治療法は、主に輸液や整腸剤などを使用した対症療法が中心となります。また、重症化すると脱水症状を引き起こす恐れもあるため、こまめな水分補給や休息を取ることも重要です。ウイルス性の感染性胃腸炎の症状は比較的短期間ですので、数日間安静状態を保つことで自然に治癒します。
ただし、乳幼児や高齢者、病気の罹患者など抵抗力の弱い方の場合は重症化する可能性があるため、自己判断せずにできるだけ早めに医療機関を受診するようにしましょう。
また、下痢症状を抑えるために下痢止め薬を使用すると、かえって回復が遅れることがあるため、医師と相談してから使用するようにしましょう。
その他、症状が見られる期間は湯銭に浸からずにシャワーのみにするか、浸かる場合は家族の中で最後に入るようにしましょう。
感染性胃腸炎は症状が回復してからも10日〜1ヶ月程度は便にウイルスが混入しますので、トイレ後の手洗いは入念に行うようにしましょう。
下痢や嘔吐を起こしたら
感染性胃腸炎になって下痢や嘔吐、食欲不振などの症状が現れた場合には無理に食事を取る必要はありませんが、水分補給はこまめに行うことが重要です。水分補給を行う際には、スポーツドリンクを少量ずつ飲むようにしましょう。ただし、冷蔵庫で冷やしたものは下痢症状を悪化させる恐れがあるため、30分ほど常温に置いた状態にしてから飲むようにしましょう。
また、牛乳などの乳製品は下痢症状や腹部膨満感を悪化させる恐れがあるため、症状が回復するまで控えるようにしましょう。
食事のメニューは、お粥やおじや、柔らかく煮こんだうどんなど消化の良いものにしましょう。また、パンは食パンなどバター成分の少ないものにしましょう。その他、野菜は繊維成分を取り除いた野菜スープなどに調理して摂取すると良いでしょう。
下痢とともに発熱を伴う場合や、複数回下痢や咽吐を繰り返した場合には、早めに医療機関を受診して治療を受けることをお勧めします。
集団発生が疑われる場合
集団で類似した症状を引き起こした場合には、集団感染を起こしている可能性があります。その際には、速やかに最寄りの保健所や医療機関へご相談ください。特に保育所や幼稚園、学校、高齢者施設などで集団感染が発生した場合には、早急に確定診断を行なって適切な対症療法を行う必要があります。また、感染経路を調査して感染がこれ以上拡大しないように努めることも重要です。